いい香りのする液体の入った小瓶をご存知でしょうか。商品名はなんだと思います?
アロマテラピーとアロマセラピー、どう違う?
の中で「芳香療法で用いられる「精油」は、今や専門店のみならず多くのショップで扱われるているので、気軽に手に入れられるようになりました。」と書きましたが、アロマテラピーで使う「精油」は植物の香り成分を抽出したもので、英語では「Essential oils/エッセンシャルオイル」と表します。
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)では、精油を以下のように定義しています。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。 各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。
遮光瓶というお薬瓶のような茶色や青色などの厚みのあるガラス製の小瓶に入れられています。
これは、精油(エッセンシャルオイル)が空気や熱、光などの影響を非常に受けやすく、品質変異(劣化)を起こしやすい性質を持っているからです。さらに保管は冷暗所で!このように非常に繊細ですので、ワインに例えてワインセラーのように温度管理が一定に保てる場所で保存してくださいね、とお話しすることもあります。
また精油(エッセンシャルオイル)は、繊細さに加えてとても貴重なものですから、お値段にそれが反映されます。 以下サイトを参考にもしていただきたいですが、
精油1kgを得るために、ラベンダーなら花穂を100~200kg、ローズなら花を3~5トン※も必要とします。
大量の原料植物から、ほんの少ししか採れない貴重なエッセンスです。
※ 産地や生産条件などにより異なります。
ところで、ラベンダーもローズも均一価格だったり安価な小瓶に入った香料を見かけたことはありませんか?
商品名は「アロマオイル」や「ポプリオイル」「フレグランスオイル」等と書いてあるでしょう。
それらはアロマテラピー用の精油ではなく、合成香料なのです。
精油と合成香料は取り扱うお店が違う場合もあれば、売り場が同じこともあります。どうやって見分けたら良いのでしょうか。「これって本当に精油かしら?」と迷われないように、チェックポイントをご紹介します。
①植物の学名であるラテン名の記載がありますか?
②抽出部位が記載されていますか?
③精油の抽出方法(水蒸気蒸留法、圧搾法、溶剤抽出法のいずれか)が明記されていますか?
上記の3つが「精油」には必ず表記されているのです。
一方、「合成香料」は植物や石油などの原料を化学的に合成して人工的に作り出したものですから、①②③のような表記はできないのです。
では、どうしてアロマテラピーには合成香料を使わないのでしょうか?
合成香料のパッケージに書かれている注意事項には「香りを楽しむだけで、体には使用しないでください」などと書かれています。日用品の芳香剤のように空間の香り付けとして使うことはできますが、精油ごとの薬理作用を期待したり、入浴・トリートメント・セルフコスメ等のお肌に使う方法に用いることはできないのです。
日本の法律では、精油は「雑貨」に分類されるので、専門店だけではなく多くの雑貨屋さんでも販売されています。合成香料は「アロマオイル」と表記されることもあり、可愛らしいパッケージで小瓶に入っていたりしますので、「精油」なのか「合成香料」なのか見分けが付けにくいかもしれません。実際、企業研修などでこの違いをお話しすると「知らずに間違って購入していました!」という方もいらっしゃいます。
合成香料は使っていけない!ということではありませんよ。アロマテラピーの使い方はできない、ということをご理解されて、お楽しみ下さいね。