アロマテラピーで用いる精油は、植物が体内に生成する芳香物質を取り出したものです。
植物ごとに構成成分が異なり、香りの違いになります。
植物はなぜ芳香物質を有しているのか、
考えられる中には、
①自分たちの生存に役に立つ虫や動物を引き寄せる誘引効果
②捕食されないように身を守る忌避効果
③病原菌から身を守る防カビ・抗菌効果
④生存競争に勝つために他の植物の生育を阻害する効果
があります。
そして、芳香物質が存在する場所も植物により違います。
例えば葉に芳香物質がある植物は、食べられるなど傷がつくと香りを発散することになります。その香りが敵となる虫を遠ざけたり、あるいは近くの仲間に危険が迫っていることを知らせていると言われているのです。
さて、バラです。
香りは花びらにあります。もう少し具体に言うと、花弁の付け根にあります。
一般的に花の香りは空中に飛散して、受粉や種子を運ぶ手伝いをしてくれる虫や動物を誘引するのです。
バラもそうですが、もう一つ、「花が枯れるスイッチ」でもあるのです。
バラの香りは「死」のメッセージ モノテルペノイドによる植物細胞のアポトーシス | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター
文献「バラの香りは「死」のメッセージ モノテルペノイドによる植物細胞のアポトーシス」の詳細情報です。J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンターは研究者、文献、特許などの情報をつなぐことで、異分野の知や意外な発見などを支援する新しいサービス...
上述の海外文献には「バラの花にバラの香水に含まれるモノテルペノイドを吹きかけると枯れる」ことから、細胞死(アポトーシス)を促す働きがあると書かれています。
確かにバラの花弁は、受粉が終われば不要。植物の力を種子育成に集中させるために、役目を終えたら早々に枯れることが必要なのですね。ある段階で細胞が死んでいくように、あらかじめプログラムされているわけです。
香りの強いバラほど、開花して程なく散る傾向にありますから、「キレイな花には毒がある」という諺に頷いてしまいます。